裁縫を始めたのは半年前くらいですが、子どもが生まれた頃から、生活全体を見直すようになりました。特に「体に優しいもの」という意識が強くなり、食べ物や使うもの、身に着けるものを少しずつ選ぶようになったんです。薬に頼ることが当たり前だと思っていた私も、子どもとの生活を通じて「薬に頼らない方法も考えてみたい」と思うようになりました。
そんな中で出会ったのが、ホメオパシーという自然療法。オーガニックショップでの講座をきっかけに、興味を持って受講してみました。ホメオパシーのレメディを実際に使ってみると、症状を和らげたり、心が落ち着いたりする感覚があり、少しずつ自分の生活に取り入れています。
ただ、パートナーは「どうしてそれが効くの?」と疑問を抱いていました。私自身も、実際のところ、ホメオパシーが科学的にどう評価されているのか、改めて考えてみることにしました。今回は、そんなホメオパシーとの出会いと、私が感じたことを少しシェアできればと思っています。
ホメオパシーって、科学的に見るとどうなの?
ホメオパシーは、200年以上前にドイツの医師ハーネマンが考案した療法で、自然治癒力をうながす「やさしい医療」として、特にヨーロッパやインドなどで長く親しまれてきました。
でも、2020年代に入ってから、「ホメオパシーって本当に効くの?」という問いが、以前よりも強く、はっきりと問われるようになったようです。
きっかけの一つは、新型コロナウイルスの流行だったそう。
不安の中で多くの人が「信頼できる医療とは何か」を改めて考え、ワクチンや治療薬の開発で科学的根拠(エビデンス)の大切さが再認識されました。すると逆に、明確な根拠が乏しいとされる代替医療に対して、懐疑の目が向けられるようになったのです。
たとえば、ドイツでは長く保険でホメオパシーがカバーされることもあったのですが、「科学的に証明されていない療法に公的なお金を使ってよいのか」という議論が起こり、見直される動きが出ています。
実際の研究ではどう評価されているの?
これまで、ホメオパシーについてはたくさんの研究が行われてきました。
そのなかで、特に注目されてきたものをいくつか簡単にまとめてみました。
- 1997年(ドイツ)
→ 初期の研究では「効くかもしれない」という希望がありましたが、のちに「研究の質が低く、効果が過大評価されていたかもしれない」と訂正されました。 - 2005年(スイス・ランセット誌)
→ 高品質な研究だけを選んで分析すると、「効果はプラセボ(偽薬)と変わらない」という結論に。医療界では「ホメオパシーの終わりの始まり」とまで言われました。 - 2015年(オーストラリア政府の調査)
→ 176の研究を調べた結果、「効果を裏づける信頼できる証拠は見つからなかった」と報告されました。 - 2023年(最近のレビュー)
→ 一部で「プラセボより少し良いかも」という結果もあるようですが、まだ研究の質や再現性には課題があるようです。
今の医療界の見方は?
今のところ、「ホメオパシーは科学的に効果が証明された治療法ではない」という意見が、医学の世界では主流です。
とはいえ、私はこういう話を知っても、レメディを使うことそのものを否定したいわけではありません。
たとえば、使うことで気持ちが落ち着いたり、「自分でできることがある」と思えるだけで、暮らしの手応えが少し変わるなら、それも大事なことかもしれないと思うのです。
だからこそ、ホメオパシーのことも、自然療法のことも、時にはちょっと立ち止まって、調べて、考えてみたい。
手を動かすように、暮らしの中で自分なりの納得を少しずつ縫い合わせていけたらいいなと思っています。

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